
スヌーズレンのこれから
2025年11月19日 12:10
🌻ちょっとだけ、経営的なオハナシ
先日、とある会社の社長さんに、厳しいお言葉をいただきました。
―「スヌーズレン」が日本に伝わって30年 ―
30年経って流行らなかったものは、これからも流行らない
大西は、この「スヌーズレン」に無限の「可能性」を感じていますが、ご指摘いただいた現実的な「見解」や一般的な「傾向」みたいなものは「ごもっとも」であり、「経営者」として当然に必要な視点、理解すべき事実だと思います。
当法人(一般社団法人 Ai-care)も、大西自身ももちろん、流行りに乗って「スヌーズレン」をご提供しているわけではありませんが、ヨーロッパで生まれたスヌーズレン「そのまま」を日本に持ってきたところで、広がらないだろうな..というのは、実は大西個人の活動当初から感じていることだったりします。
🌻日本と欧米の違い
日本と欧米では、そもそも「文化」も違えば「社会資源」もまったく違う..というのはご存じのとおりで、「個人」の自立と権利が尊重される欧米に対し、日本は「集団」や周囲との調和といったものが大切にされてきました。
障がい者を取り巻く環境も異なり、家族をはじめとした小さな集団でのサポートが行われてきた日本では、当事者理解が広がりにくく、当事者側も支援を求めにくい現状が、いま尚あるように思います。
一方、欧米諸国はと言うと、早くから障がい者が社会に受け入れられるための法整備が整っていたり、当事者側からニーズや要望を主張することは当然とされていたり。
また「スヌーズレン」のことで言えば、ヨーロッパでは各施設内に整えられたスヌーズレンルームは、国が管理しているといった現状もあったりするわけです。
「おもてなし」文化の強い日本。
障害福祉などの現場では「目標」が設定され、手を施す形での計画的な支援が主流になっているように思います。
しかし、「スヌーズレン」の環境下では、その人を「主体」とした「ゴールを定めない」支援が求められる。
自発的に何かができない方には、自発的な動きが見られるまで、ただそばで見守り寄り添う..ということも、大切な「支援」なのですが、日本の現場でコレをやってしまうと『ちゃんと仕事して!』と言って、上の人に叱られてしまうわけです。
そんなこともあり、日本人にとって「スヌーズレン」の理念は分かりにくく、活動自体は素晴らしいものだと知っていても、いざ実践する..となると、難しい活動のように思えてしまう。
これも、日本においてスヌーズレンの認知が広まって来なかった、ひとつの要因ではないかな..と思っています。
🌻日本でスヌーズレンを広めるには
これから日本で、スヌーズレンの認知をさらに広げようとするにあたって、現代の「社会の変化」は大きな追い風になり得るものと思っています。
「多様性」が尊重され、誰もが社会の一員として「包摂的」に受け入れられることを目指す世の中の動きは、スヌーズレンの「理念」にも通ずるものです。
また、スヌーズレンの「考え方」の広がりが、本当の意味での「共生社会の実現」にもつながるもの..と思います。
ただし、スヌーズレン「そのまま」では、過去30年と同じことの繰り返し。
障がい者福祉などの現場で、「熱量」のある方が「スヌーズレン」について勉強し、「上層部」を説得して施設内にスヌーズレンルームを設けることができたとしても、日本には「人事異動」という制度があるために定期的に担当者が入れ替わってしまう。
その際、スヌーズレンの「理念」まで引き継がれるといいのですが、後任者が同じ「熱量」を持って活動にあたることのできる現場のほうが稀であり、多くは扱い方が分からず、お部屋自体が「物置」と化すか、専用機材たちが「倉庫」へと追いやられるか。
大西は「スヌーズレン」に携わって、わずか3、4年..といったところですが、すでにそんな「現場」を、いくつも知っています。
「流行りすたり」ではない、福祉の「現場」でのスヌーズレン活動の「継続」には、「やり方」を変えいく必要がある。
また一方では、「スヌーズレン」を知ってもらうため、スヌーズレンのような環境を「必要とする人たち」のことを知ってもらうため、「汎化」させる動きも必要だと感じています。
🌻かんかくもーる のこれから
そこで、当法人では「かんかくもーる」の施設運営に加えて
①がっつりスヌーズレン
②すっきりスヌーズレン
③アレンジスヌーズレン
今後この三本立てで、事業を展開したいと思っています。
まず「①がっつりスヌーズレン」についてですが、こちらは、障がい児(者)等のスヌーズレンの活動が特に必要な方に向けたスヌーズレン実践を、高い専門性と専用設備を持つ私たちが、様々な感覚要素を携えて行う..というものです。
ご提供先としては、特別支援学校、福祉事業所などを想定しています。
次に「②すっきりスヌーズレン」ですが、こちらはスヌーズレンの「雰囲気」を体験していただくもので、シンプルな空間の中でのスヌーズレン体験をご提供するものです。
ご利用シーンとしては、イベント会場でのカームダウンスペースとしての活用などを想定しています。
「保育」やお子さんの「預かり」を組み合わせることで、ご利用の幅も広がるかも知れません。
最後に「③アレンジスヌーズレン」ですが、こちらは、「スヌーズレン」の考えに基づきながら企業をはじめとした他の組織との連携によって、新たな空間の「価値」を創造する..というものです。
より多くの人が「スヌーズレン」に触れ、またその場所が、多様な背景を持つ人同士の「ことば」を超えたコミュニケーションを生む場となれば、そんなうれしいことはありません。
そして、すでにお気づきの方もいらっしゃるかも知れませんが、これからの かんかくもーる、「外」向かって活動の幅を広げていきます。
たくさんの方のお力添えによって、岡山市南区藤田に「拠点」となる施設をつくることができました。
― しかし、この「場所」での活動のみでは、私たちの目指すところにたどり着けない ―
二年目となる施設「運営」を通じて、そんな「こたえ」が見えてきています。
これまでの30年とは違う、これからの30年を築き上げるべく、かんかくもーるの挑戦は続きます。
ぜひ、今後の活動にもご注目ください。