
環境が引き受ける支援
2026年07月14日 01:05
🌻よくいただくご質問
多感覚環境(スヌーズレン)の提供を通じて、障害のある方やご家族と関わる機会が多くあるのですが、時折、こんなご質問をいただくことがあります。
「障がい者の方と一緒に過ごすのって、怖くないんですか?」
「もともと、福祉のお仕事をされていたんですか?」
「何か特別な勉強をされたんですか?」
多様性への理解が広がりつつある昨今ですが、日本ではまだまだ、障害のある人とない人の接する機会そのものが少ないように感じます。それどころか、一部では「障害のある方への関わりは、専門職だけができるもの」そんな認識もあるようです。
🌻障がい者は怖い?
先のご質問について、私は支援のプロでも何でもありませんが、障害のある方を怖いと思ったことは、いまのところ一度もありません。「むしろ、その辺を歩いている見知らぬ人のほうが、よほど怖いです」そんなお話をすることもあるくらいです。
障害のある方たちの中には、噛む、叩く、蹴るなどの行動が見られる方がいます。しかし、多くは、誰かを傷めつけること自体を目的としたものではありません。その背景には、伝えられない思いや困りごと、不安や恐怖などがあり、これらの行動は、ひとつの感情表現とも捉えることができます。
🌻よくない行動が見られたとき
多感覚環境(スヌーズレン)のお部屋では、感覚を通して安心感が生まれたり、思いが伝わりやすくなったりして、利用する人の精神面は落ち着く傾向があります。そんなお部屋の中で好ましくない行動が見られた場合、実践者としてまず「環境」と「関わり」に無理や問題がないかを見直します。
その人が苦手な感覚や、強い刺激がないか。不安を感じる関わりや、不快な関わりがなかったか。そして、その人の変化を見ながら、環境設定と心理的な距離感などを少しずつ調整します。スヌーズレン実践は、この積み重ねだと考えています。
🌻叩かれたこともあります
そんな私も、これまでに、お子さんにグーパンチを受けたことや、成人の方に胸ぐらを掴まれたことがあります。グーパンチをしたお子さんは、他のお客さまとご利用が重なった際に、「やりたかったこと」を私が止めに入ったことが原因でした。胸ぐらを掴んだ成人の方は、その方が壊しかねないおもちゃを、私が中途半端に隠してしまったためでした。
それでも、怖いと思ったことはありません。なぜなら、利用する人に好ましくない言動が見られたとき、私には、私自身の空間づくりと関わりを見直す責任があると考えているからです。
しかしそれは、私が「環境」をサービスとしてご提供しているから。支援の現場では、これを少し違う角度で活用していただければと思っています。
🌻環境が支援を引き受ける
私はこれまで、多感覚環境(スヌーズレン)の提供を通して、環境づくりの大切さを身をもって感じてきました。
・外部刺激の遮断
・音や光などの調整
・触ってほしくない箇所から意識を背ける空間づくり
これらの環境設定を丁寧に行うことで、感覚の世界へスムーズに入り込めるようになり、精神面や行動面の安定が見られたり、その人らしい過ごし方が生まれたりという場面に数多く触れてきました。私はこれを「環境が引き受ける支援」と表現しています。
支援の現場ではぜひ、環境づくりによるこれらの変化を活用し、「支援者が頑張り過ぎなくていい支援」につなげていただきたい。そんなふうに思っています。
🌻最後に
多感覚環境(スヌーズレン)の提供を通して、支援の現場の大変さにも触れてきました。
― 支援者の負担を、少し環境に預ける ― そんな環境づくりと実践を、皆さんと一緒に考えていければ。
かんかくもーるがご提供している「実践ダイアログ」では、この「環境が引き受ける支援」について、それぞれの現場に合わせた環境づくりを、皆さんとともに考えていきます。ご興味のある方は、お気軽にご相談ください。
かんかくもーるは、支援者の皆さんも、応援しています。