かんかくもーるのブログ

山陽新聞コラム① 社会の中の見えにくい問題

山陽新聞コラム① 社会の中の見えにくい問題

2026年06月29日 18:49

皆さんは、「障がい児の遊び場」や「障がい者が楽しめる場所」と聞いて、思い浮かぶ場所がありますか?ふだんの生活の中で、障害のある人とその家族が楽しく過ごす様子を見ることが、どのくらいあるでしょうか?

多感覚環境(スヌーズレン)の体験機会を提供する活動の中で、障害ある子どもを育てる保護者の方たちの、さまざまな声を聞いてきました。ひと言に「障害」と言っても、困りごとは多種多様で複雑に絡み合い、感覚の過敏さや行動の違いなどから、周囲の理解を得にくい場面が、社会には数多く存在しています。

親でさえ戸惑うわが子の言動、まわりからの冷たい視線、心無い言葉。そんな中で、深く傷ついた保護者や、地域で孤立してしまった親子とも、ご一緒してきました。

「わが子を連れて行ける場所がない」

障害がある子どもの親たちは、口々にそう言います。地域の中で行き場をなくした家族の外出は、専らドライブ。そんな話を、車社会の岡山ではよく耳にします。移動距離は100kmを優に超え、中には週末ごとに12時間にもおよぶ運転を続けているという保護者の方もいました。

かつては私自身も、地域に潜むこの問題を知りませんでした。2022年から始めた、多感覚環境(スヌーズレン)の提供を通じて、初めて触れることになった現実です。

近年、インクルーシブ遊具や、カームダウンスペースの設置など、障害や特性を持つ人に配慮した場の整備は進みつつありますが、感覚に配慮した誰もが過ごしやすい場所の整備は、まだ十分と言えません。また、ハード面(環境づくり)だけでなく、ソフト面(居合わせる人の対応)でも課題が残されています。

社会の中に潜む見えにくい問題は、しばしば「存在しないもの」として扱われがちです。しかし、皆さんの地域の中にも確かに存在している、障がい児(者)とその家族を取り巻くこの問題について、少し思いをめぐらせ、考えてみていただけるとうれしいです。


※本記事は、2026年4月7日付 山陽新聞に掲載された、大西執筆コラムをもとに、ホームページ向けに加筆・再編集したものです。