
山陽新聞コラム⑦ これからのこと
2026年07月02日 19:23
― 感覚に配慮された環境が、社会に広がっていくこと ― それこそが、「かんかくもーる」を拠点に私たちが取り組む活動の目的です。
多感覚環境(スヌーズレン)の中では、家族や支援者のみならず、その人自身も驚くような、さまざまな変化が生まれます。しかし、これらの変化の多くは、できなかったことができるようになったり、問題が解決したりといった誰かの評価が得られるようなものではありません。また、数値化や可視化によって、誰もが納得できる結果として伝えるのが難しいことがほとんどです。
環境が整うことで何が起きるのか。これまで、かんかくもーるの運営を通じて多様な方たちと過ごす中で見えてきたこと。これらを言語化しながら裏付けを整え、社会実装の検討につなげていくことの大切さを感じています。
そのためには、組織を超えた連携が欠かせません。
・多感覚環境の中で起こり得ることやエビデンスの整備
・必要な方たちへの体験機会の創出
・神経多様性(ニューロダイバーシティ)への理解
・感覚特性に配慮した職場環境の整備
こうした取り組みと場の広がりを、教育・福祉・医療などの各機関、企業や行政とともに、丁寧に考えていくことが必要です。
環境が整うことで、社会に受け入れられる人の数は確実に増えていきます。近年、人口減少や労働力不足などの問題が深刻化する日本において、より多くの方の社会参加が叶うことは、課題解決の大きな一歩となります。
そして、忘れてはならないのが、人もまた「環境」であるということです。どんなに立派な空間や設備が整っても、向き合う人の理解や思いがなければ、居心地のよい環境は生まれません。
「障害」と聞くと、自分には関係のないことのように感じる方も少なくないかもしれません。しかし、怪我や病気によって、誰もが当事者となり得ます。加齢によるものであれば、なおさらです。
あなたや、あたなの大切な人がハンディを負うことになったとき、あたたかい社会が待っていることを願って止みません。
そして最後に、感覚への配慮は、誰もが自分らしく過ごせる社会につながることも伝えておきたいと思います。
私たちが取り組む、感覚に配慮した環境づくりについて、ここまでお付き合いいただいた皆さんとも、ともに考え、社会へ広げていけるとうれしいです。
※本記事は、2026年5月26日付 山陽新聞に掲載された、大西執筆コラムをもとに、ホームページ向けに加筆・再編集したものです。