
「スヌーズレン」だけでは伝わらないこと
2026年07月04日 14:49
🌻「スヌーズレン」って何だろう
いま、この記事を読んでくださっている方も、一度は、インターネットやAI検索で、「スヌーズレン」について調べたことがあるんじゃないかなと思います。
「ヨーロッパ発祥の」「重度障害の方のための」「五感に作用する空間で」「本人主体の関わりを」
これらの文言は、きっと皆さんもよく目にされるものだと思います。
一方で、時折こんな説明に触れることがあります。
「障がい児(者)を魅了する」「暴れている子が落ち着く」「リラックスできる」
私は、この「スヌーズレンにはこういう効果があります」と言い切る説明に、どこか違和感を感じてしまうのです。
🌻大西は、こんなふうに思っています
スヌーズレン室のようなお部屋が好きなのは、障害のある人に限ったものではないよなぁ。
大人だって、この空間が大好きな人もいるし、障害のある方でも、「スヌーズレンのお部屋が苦手」っていう人もいるもんなぁ。
多動のあるお子さんが、時間が経つにつれて徐々に安定してくることはあるけど、必ず落ち着くかというとそうでもなくて、感覚遊びが楽しくてテンション上がっちゃう子もいるしなぁ。
このお部屋に入ればリラックスできるということではなくて、「結果的に落ち着く人もいる」そんな感覚だよなぁ。
そんな思いが頭をめぐり、それらの背景が語られることなく短い言葉で説明されてしまうことを、少し悲しく思うこともあります。
「障がい児(者)が好む空間」というよりは、「障害や特性のある人にも受け取りやすく、楽しみやすい空間」というほうが、何だかしっくりきます。
外的刺激が遮断された空間の中で、手の届く範囲に感覚刺激の対象物がある。何がどんな感覚をもたらすのか。その分かりやすさが安心となり、精神の安定にもつながっていく。また、好きな感覚にフォーカスして、苦手な感覚があまり気にならなくなるといった「感覚の調整」を、自分自身の力で行うことも。言葉がなくても、感覚を通じて他者とつながる。自己効力感をもたらす小さな成功体験を積み重ねる。
これらのさまざまな要因が重なって、結果的に「落ち着く」のだと思っています。
🌻実践者としての思い
私は、スヌーズレンを「効果」ではなく、感覚を通じた「人と環境との関係」で見ています。
これまで、のべ3,500人を超える多様な方々と、スヌーズレンのお部屋の中でご一緒してきました。障害の有無や、年齢・性別を問わず、多くの方が心地よさを感じるこの空間で、お子さんにも大人の方にも、さまざまな変化が生まれるその瞬間に居合わせてきました。
スヌーズレンは、障害のある人に何かをさせたり、支援する人の好ましい状態にさせる空間ではなく、一人ひとりが自分らしく過ごしたり、感覚を通じて誰かとつながったりできる環境を探すための活動だと思っています。
― 人と環境との関係を丁寧に見つめること ― それこそが、スヌーズレンの本質であり、実践者に欠かせない視点なのではないでしょうか。