
道具をそろえれば多感覚環境なのか?
2026年10月07日 18:09
🌻多感覚環境に用いられる設備や道具類について
多感覚環境は、道具をそろえればつくることができるのでしょうか?
「スヌーズレン」の活動の場としても認知の広がっている「多感覚環境(センサリールーム)」には、スヌーズレン機器や感覚グッズなどが用いられることが一般的です。

水の入った透明な筒の下から、LEDの光に照らされた泡が不規則に浮き上がる機械「バブルユニット(バブルタワー・バブルチューブとも呼ばれます)」や、光ファイバーの入ったチューブが何本も束になって、光の川のように空間を彩る「サイドグロウ」など、かんかくもーるにも、さまざまな機器やグッズ類があります。
時折
「この機械には、どんな効果があるんですか?」
そんなご質問をいただくことがあります。
専用機器やグッズ類には、それぞれ得られる「感覚」や「刺激」があります。感覚グッズは、海外製のものがほとんどですが、ほどよい感触、心地よい刺激など、得られるものを細かく設計されたものが多いように感じています。
しかし、設備や道具単体から得られる効果は「一概に言えない」というのが、私の持論です。
バブルユニットは、暴れている人を落ち着かせる
サイドグロウは、興奮気味な人をリラックスさせる
そんな効果があるとすれば、支援する側としては理想的かもしれませんが、この環境がもたらすものは、少し違うところにあると感じています。
🌻機器や道具は多いほうがいい?
かんかくもーるには、感じ方もお身体の状態も、実にさまざまな方がお越しくださるため、選択肢を広げるという意味で、物が多めになっていますが、機器や道具が多ければいいのかというと、そういうものでもありません。
多感覚環境の空間づくりにおいては、物をそろえる、増やすといった「足し算」よりも、むしろ「引き算」のほうが大切な場面が多くあります。
その方が、自分の意思で選び楽しむためには、「何が足りないのか」以前に、「何が邪魔になっているのか」を見極める必要があります。
まずは、環境のベースをつくる。そんな意味でも、引き算は重要なのです。
そして、機器や道具の選定については、「何があるか」よりも「なぜそれが必要なのか」が大切だと感じています。
「その方に、どんな体験をしてほしいのか」
そんな視点から空間づくりをスタートさせると、出来上がる環境は、より一層、豊かなものになるはずです。
🌻多感覚環境の空間づくりとは
私は、多感覚環境とは「設備や道具によって成り立つもの」ではなく、「その人と環境との関係を通じてつくられるもの」だと考えています。
大切なのは、「どんな機器やグッズを置くか」ではなく、その人が自分の感覚で環境と出会い、感じ、選び、楽しめむための「余白があるか」ということ。
そして、忘れてはならないのが、一緒に過ごす人も「環境の一部」だということです。
こうした観点から、環境づくりやスヌーズレンなどの感覚を通じた活動が広がり、主体的な経験が積み重ねられることで、その人の人生そのものも、より豊かになっていくのではないでしょうか。
🌻これから少しずつ、お話していきます
このような、多感覚環境の体験機会の提供や、施設運営を通じて見えてきたもの、感じてきたことなど、これまで私自身も言語化できていなかったものたちを、「大西は、多感覚環境に何を見ているのか」というテーマで、これから少しずつお話していきたいと思います。
「感覚」と「環境」をつなげることによって、何が生まれるのか。
皆さんにも、一緒に考えてみていただけるとうれしいです。